• 8月27日(木) ロータリー情報・定款細則委員会卓話

    ロータリー情報・定款細則委員会 PG 佐藤 秀雄 委員

     

    卓話1

     

    テーマ:「国際ロータリー(RI)の近況報告」

     

    皆さん、こんにちは。川端委員長より依頼され、本日は私が卓話を担当します。本日は「RIの近況報告」と題して卓話を行う訳ですが、近況報告といえばRI理事会の動向を指す場合が多いのでまずはその理事会の構成について説明します。RIは世界の地域を34のゾーンに分割し、その中から17名の理事を選出しています。日本は34ゾーンの内の第1、2、3ゾーンに分割指定されていて、理事は1名割り当てられています。理事の任期は2年で、偶数年に8名、奇数年に9名の改選があり、これにRI会長とRI会長エレクトの2名を加えた19名プラス議決権の無い事務総長1名を加えた20名で理事会は構成されています。現在の事務総長の前は日系3世のフタ事務総長が務められていましたが、現在はジョン・ヒューコ氏がRIの最高事務執行責任者として就任され、4年になります。(事務総長はRIから給料を貰い、任期は5年です。大体4期ほど務められる場合が多いそうです。)

     

    RIの本部はアメリカ合衆国イリノイ州エバンストンにあります。職員は全体で774名(2015年6月末現在)、その内訳は本部職員526名、事務の効率化の為インドのプネに事務局を設けていて、そこの職員が140名、世界の8つの事務局(日本を含む)に108名の職員を擁しています。

     

    理事会はどういう事をしているのかと申しますと、RIの長期ビジョンの検討・作成や予算の5か年計画の策定、単年度の予算・決算案件の検討承認、財団の領域の検討、決議案の作成検討等、多くの案件を扱っています。定時理事会は年4回でありまして、緊急案件についてはその都度臨時理事会が開催されています。2015年度で任期を終えた北 清治 理事の報告によりますと、少なくても1回の理事会の会合で50件前後の案件があり、300ページに及ぶと報告されていました。

     

    さて、RI理事会の動向でありますが、決議案件である「ロータリアンの行動規範」の変更について少し詳細に報告させていただきます。K.R.ラビンドラン会長(スリランカ国出身)は、会員特典プログラムとして「ロータリーグローバルリワード」を2014年7月の理事会に提案され、承認されました。このプログラムの承認に伴い「ロータリー章典」に影響を及ぼす部分が自動的に改訂される事になりました。この事から2014年10月に開催された理事会においてK.R.ラビンドラン当時会長エレクトの提案によってロータリアン同士の物質的金銭的な相互扶助が認められるようになった為、整合性を保つ為に行動規範5項目の「事業や職業における特典を、ほかのロータリアンに求めない。」という部分が削除となりました。

     

    当クラブの会員名簿10ページには「ロータリアンの職業宣言」が掲載されていますが、2011年11月の理事会において「ロータリアンの行動規範」という名称と共に内容や文言も大きく変更されました。また、2013年規定審議会決議を受け、RI理事会は「ロータリアンの行動規範」を改訂し、5項目からなる簡潔なものにしました。2013年「手続き要覧」63ページには8項目で記載されていますが、その後5項目となり、2014年度の後半の理事会では第5項目を削除し4項目となっています。従って当クラブの会員手帳も最新のものに改訂した方が良いのではないかと思っています。

     

    さて、「ロータリーグローバルリワード」とはどのようなものかといいますと、このプログラムはロータリークラブ会員が航空会社やレンタカー会社、ホテル、レストラン、エンターテイメント、商品等の割引を利用出来る特典プログラムです。どのような目的の為にこの会員特典プログラムが起案され、承認されたかを申し上げますと、1905年に青年弁護士ポール・ハリスとその仲間達3人で創設されたロータリーは拡大に拡大を重ね世界に広がりました。110年を経た今日、200以上の国と地域に拡大し、クラブ数34,800余、会員総数120万人余となりました。現在、組織が拡大し過ぎ、組織維持の為に苦労する時代を迎えています。この事が創設された背景です。目的は会員維持と会員増強にあります。この会員特典により維持と増強が図られると会長は考えたのですね。

     

    卓話2

     

    このプログラムについての私個人的な考えですが、(1)世界の企業がどれほど賛同し、参加してくれるのか。(2)割引率はどれほどなのか等々、未だ明確ではない部分が多々あります。当地区には函館セントラルRCの鍋谷氏がこのプログラムの担当として指名されていますが、先月開催された地区諮問委員会で嵯峨ガバナーに質問したところ、「良く分りません」という回答でありました。

     

    職業奉仕の実践指標とされてきた「四つのテスト」はロータリーの奉仕の基本理念に格上げされました。この基本理念(みんなに公平かという部分)と会員特典プログラムとの整合性はいかがなものかと疑念を抱かざるを得ません。ロータリーは1905年の物質的相互扶助の世界に戻り、He profits most who serves best(最もよく奉仕する者、最も多く報いられる。)という高邁な職業奉仕理念はアーサー・フレデリック・シェルドンと共に消え去ろうとしている。とRI第2650地区職業奉仕委員会は言っています。理念の確立をされていない組織は消滅していくというのが世の常です。現在のRI理事会が職業奉仕より会員増強や財団へ力を注いでいるのを見ますと、110年続いてきたロータリーもあと1世代後にはどうなってしまうのだろうかと危惧しています。当クラブは一つの理念の下で是非クラブ活動を続けていって欲しいと願います。