• 11月12日(木) ロータリー財団・米山記念奨学委員会卓話

    講師紹介:ロータリー財団・米山記念奨学委員会 村上 倫行 委員長

     

    dc111574

     

    ロータリー財団・米山記念奨学委員会の村上です。10月は米山月間ということで米山奨学生の方に卓話をしていただきました。そして11月はロータリー財団月間でありますので、今日は長沼RCの古川大之地区ポリオプラス委員会副委員長から「ポリオ撲滅活動について」卓話をいただきます。

     

    その前に、このポリオプラス委員会ですが、地区のどなたが窓口なのか。どうやってお願いすればいいのかが、分からず、まず紹介していただいたのが小樽の「ポリオプラス委員会」岡崎委員長でございました。そして岡崎委員長からご紹介があったのが「ポリオプラス委員会」の古川大之副委員長でございます。

     

    古川副委員長は 羽部PG(札幌幌南RC)の弟さんに当たります。そして岡崎委員長は、古川副委員長の義理の弟さんに当たるそうです。「いろんな縁に結ばれているなあ」と思う次第です。今日は古川副委員長に卓話をお願いしますが、池内委員も御同行していただいております。

     

    皆さんのお手元にあると思いますが。ポリオ撲滅についての冊子が配布されております。これは、当クラブパスト会長の福田地区職業奉仕委員長が持ってきてくださったものでございます。いろいろ分かりやすく書いておりますので、ぜひご覧下さい。それでは古川大之副委員長よろしくお願い致します。

     

    dc111576

     

     

    ◆部外講師卓話

     

    dc111578

     

     

    ・部外講師 RI2510地区ポリオプラス委員会 古川 大之 副委員長(長沼RC)

     

    ・テーマ 「ポリオ撲滅活動について」

     

    さて、本目は「ポリオ撲滅新戦略で果たして撲滅は可能なのか」について、少しお話致したいと思います。

     

    ご存知の通り、ポリオ撲滅活動は1982年2月のRI理事会で、2005年に「RIの100年祭を迎えるまでに、全世界の児童をポリオから守る免疫接種を完了させることを目標とする。」旨決議されました。その後、日本のロータリーも数々のポリオワクチン接種の活動を行ってきました。

     

    しかし撲滅目標は2018年と遅れ、長期間の寄付活動に少しマンネリ化してきたように感じます。最初にポリオ根絶を宣言しましたのは、1994年汎米(北・中・南米)地域でした。次いで2000年、西太平洋地域で根絶宣言がなされました。「西太平洋地域ポリオ根絶京都会議」でこの輝かしい宣言は「京都宣言」として発表されています。

     

    この京都宣言の内容から目本のロータリアンの中には、ポリオは一区切りついたと思われ、誤解が生まれているようです。

     

    世界保健機構(WHO)は2002年にヨーロツパ地域での撲滅宣言、2014年3月にはインドと東南アジア地域の撲滅宣言を行いました。2015年9月にアフリカ大睦地域で1年間ポリオの発症報告がありませんでした。

     

    ナイジェリアはポリオ常在国からは外れました。あと2年間、ポリオの発症が無ければアフリカ大陸はポリオフリーとなります。世界で現在、ポリオ常在国として残っているのは、アフガニスタンとパキスタンの2ケ国になりました。

     

    次は、「どうしてこのように根絶に時間が掛かるのか」について説明致します。

     

    歴史上、世界で唯一ウイルス撲滅に成功した天然疸は約10年で撲滅に成功しました。天然疸の感染者は皮膚に炎症が現れ、分かりやすく、また接触者を特定することが容易です。

     

    また世界の人口は現在の半分ぐらいでした。またテロなどの複雑な政治情勢にありませんでした。一方、ポリオは感染しても発病しない人がいます。顔や体に症状が現れないため、感染者を特定することが難しく、感染は広範囲に広がります。人ロも増加し、テロや貧困、宗教的な障害もあり、ワクチン接種が徹底出来ない問題があり、撲滅に時間が必要です。

     

    しかし、天然痘もポリオも診断が可能であり、ウイルスの宿主は人であり、補足可能であること、ワクチンが存在することは同じであり、根絶は可能であるという判断で私たちは活動をしています。インドの推定人口は12億5千万人であり、0歳から5歳までの人口が1億7千万人。ワクチン接種活動のボランティアは2百万人が参加します。社会は、不衛生で感染しやすい場所が多く、身分制度が残り貧困から抜け切れない人が多くいます、住民台帳は充分ではなく、ワクチン接種は徹底できません。このような状況の中で、ポリオ根絶が非常に難しいインドで2014年ポリオ根絶に成功しました。人間の英知は、困難な状況の基でも、ポリオ撲滅は可能であることを証明しています。

     

    次に「ポリオ撲滅まであと一歩とのことだが、それに必要な具体的な金額・期間について、地区ではどのように考えているか」を、ご説明申し上げます。

    世界ポリオ撲滅推進計画(GPEI)の発表によりますと、2013年~2018年に必要とされる資金について、

     

    予防接種活動                  2,600 百万ドル

    監視と反応行動能力                  688百万ドル

    ポリオウイルス封じ込め                49 百万ドル

    WHOやUNICEFへの技術支援        1.844 百万ドル

    間接費用                      343 百万ドル

    支出合計                     5,525 百万ドル

    寄付実績(2012年からの繰越金含め)     1,986 百万ドル

    寄付見込み額                   3,045 百万ドル

    最善の場合でも不足な金額              494 百万ドル

     

    ポリオプラス委員会は、2013年から2018年迄の5年間、ビル&メリンダ・ゲイツ財団が、ロータリーが集めた金額の倍額を出して頂けるとの事から発足された委員会です。ポリオ撲滅に掛かる費用は寄付見込みを計算しても5億ドル不足しています。ロータリーが長年努力してきたポリオ撲滅事業を無駄にしない為にも、ロータリー会員皆様の温かいご協力をお願いいたします。

     

    10月14日現在(GPEI報告)世界で野生株によるポリオはパキスタン(38症例)アフガ二スタン(43症例)の51症例に減っております。(昨年同時期は242症例)ただ残されている地域は政情不安定な地域のため最後の0、01%は今まで以上に困難である事は間違いありません。

     

    パキスタンのイスラム教徒は、家長が絶対権限を有しており家長がワクチン接種を許可しなければ接種できません。また、パキスタンの公用語は英語ですが、言語はバローチー語、ウルドウー語、パシュート語、シンド語、英語と州により混在しておりが、イスラマバード付近のみでほとんどの国民は分かりません。国語はウルドウー語ですが、ウルドウー人が少なく他の人種は理解することはできません。

     

    そのような環境では、伝聞が主な通信方法であり、公用語の識字率は著しく低く、女性は、もっと低いと考えられています。また中央政府が管理出来ない連邦直轄部族地域やパキスタンの実行支配地が存在し、ワクチン接種活動は困難な状況です。この様な状況でパキスタン政府はワクチン接種を拒絶する男親を500人逮捕し、本腰を入れたとのことです。しかし、2018年迄に根絶するためには、2015年度中に最後のポリオ発症者を見ることであり、もう少し時間が必要かも知れません。

     

    ポリオ撲滅運動は最難関と考えられてきましたインドでさえ根絶宣言が出され、ナイジェリアも常在国から外された現実を考えると、決して不可能な事ではなく、逆に今手を休めると、再び流行し今までの努力は無駄になり根絶は不可能になると思われます。

     

    ポリオプラス基金寄付は、前年度は1クラブ1500ドルという目標であり、今期は「会員1名30ドル」を目標に変わりました。これは地区が決めている金額ではなく、日本ロータリー財団より示された金額を地区内の皆様にお願いしております。

     

    ロータリー財団よりは今期も1500ドル達成クラブに対して表彰される事になりますし、地区のポリオプラス委員会としましても全会員1人30ドルを達成されたクラブに対しまして何らかの形で感謝の意を表したいと計画しております。

     

    私たち地区ポリオ委員会では、本年度は地区ガバナー月信と地区ホームページにポリオプラス委員会のコーナーを設け会員の皆様に最新情報の発信に努めています。是非ご覧になってください。

     

    会員の皆様方に「ポリオ撲滅」のご理解を深めなければ、ポリオ撲滅の活動資金は集まらないと考えております。 皆様の温かいご協力をよろしくお願い申し上げます。

     

    ※卓話終了後、沼田会長から謝辞と謝礼が贈られました。古川大之様、貴重なお話をありがとうございました。

     

    dc111585