• 8月5日(木) ゲスト卓話「2010-2011年度地区世界社会奉仕活動について」

    国際奉仕委員会
    副委員長 菅原 正行

    本日の講師であります、手塚貴志様をご紹介いたします。手塚様は1954年5月17日生まれでございます。職業はアビィロード代表取締役社長です。白老ロータリークラブに所属され、入会されたのは2001年1月1日です。クラブ役職としては、2003-2004年度に幹事、2006-2007年度に会長を務められております。地区委員としては2005年度から2008年度まで国際XXX委員会委員、2009-2010年度は世界社会奉仕委員会の委員、2010-2011年度は委員長を務められております。

    本日は、2010-2011年度の地区世界社会奉仕活動について、これまでの活動経験を踏まえ、ご説明をしていただく予定です。それでは、手塚委員長様、よろしくお願いいたします。

    国際ロータリー2510地区世界社会奉仕員会
    委員長 手塚 貴志 様

    世界社会奉仕委員会の活動をご紹介する前に、釈迦に説法だと思いますが、世界社会奉仕員会、WCSとは何かということを説明したいと思います。WCSは、World Commu-nity Serviceの略で、僕は初めて聞いた時には貿易会社の委員会みたいな感じだなと思ってました。去年から委員になったのですが、中に入ってみるとやっぱりその通りでして、地区の海外事業部といった感じで海外の支援をするという委員会です。

    WCSの目的
    WCSの目的は、援助を必要としている人たちの生活の質を国際奉仕を通じて高めるということです。ですから、相手国のみなさんの生活の質を高めるということが目的になります。また、基準というのもありまして、プロジェクトが人道的な性質なものということです。もう一つは、2カ国以上のロータリアンが必ず関与すること、つまり相手の国にロータリークラブが無ければだめですよということです。ですから、中国やアフリカの一部の国のように、ロータリークラブがないところではWCSとしては支援事業をすることはできないということになります。なぜかというと、人道支援というのは非常に難しいところがあって、お金を送ってもそれがストレートに我々が思っている事業に使われるのは非常に難しいのです。ですから、信頼のおける仲間がいるロータリークラブがある国で行うということになります。また、このプロジェクトは2カ国のロータリークラブが共同して行うのですが、どちらかの国の場所で行うということです。2カ国が共同して全く別の国で行うということは、WCSとしてはできません。そういう活動は、別の活動になります。それから、プロジェクトに参加することには非常に意味がありまして、一つには国際理解と親善を推進とする大きな目的があります。それから、世界的な問題に取り組むということもあります。国際理解と親善ということは、ただお金や物資を送って支援したよというのでは駄目だということです。基本的には現地へ行って、向こうのクラブと友好と親善を深めて、お互いの国のいろいろなことを理解し合うということが、非常に大事なことです。これから説明するのは、相手の国に行ってどんな事業をやったかということを確認してくる検証事業ですが、プロジェクトの進展を監督・評価するということです。よく聞かれることに、なぜタイなのかインドネシアなのか、もっと困っている国があるのではないか、ということことなのですが、今言ったような理由の中で、相手国にロータリークラブが無くてはいけないということ、また我々が検証できるということも非常に大事です。そういうことを踏まえながら、聞いていただきたいと思います。

    2009年の検証ツアーの模様
    2009年2月に検証に行ったのですが、事業としては前年度に行っています。まず、インドネシアのジョグジャカルタで、寝具・浄水器・図書事業を行いました。ジョグジャカルタの孤児院では、コンクリートの床に直接ござを敷いて寝ているということでした。温かいところなのですが、やはり、コンクリートの床はごつごつしていますので、ここにマットレスの寄贈事業を行いました。厚さ5cmのマットレスなのですが、事業費が5万円で約30人分の寝具を寄贈することができました。孤児院の子供たちの大半は、地震と津波で親と家をなくした子供たちでした。また、文具のプレゼントでは中に「人」と書いたノートがあるのですが、これは砂川ロータリーさんが、約500冊の手作りのノートを作って、いろいろな絵を描いたりしたものをプレゼントしました。

    孤児院の左側に井戸があるのですが、井戸の中は非常に濁った水で、これを直接飲んでは健康を維持することはできないということで浄水器を寄贈しました。また、スマートさんという人が移動図書館ということでバイクであちこちに図書を運ぶというボランティアを行っているのですが、それを支援するための事業も行いました。これは千歳セントラルRCさんに資金を提供していただきました。

    2007年の検証ツアーの模様
    2007年2月にはタイのチェンマイのチェックダム事業の検証に行ってまいりました。この時は、酒井パストガバナーも一緒に行かれました。現地で行った引き渡しセレモニーには、チェンマイの総領事である横田さんが出席してくれました。この方は、事業を進めるに当たって、非常に熱心に協力してくれまして、現地に赴いて一緒に作業もしていただきました。チェックダムというのは、小さい堰をたくさん作っていく事業で、セメントと砂、そして近辺にある資材、ここでは竹がたくさんあるので竹を使っています。一つの沢に100個くらい作って鉄砲水を防止するというものです。その沢が無数にありますので、この要請は非常にたくさんあります。この事業費は、クラブが5万円、地区が5万円で約10万円の事業費で、80~90個のダムが作れます。なぜこんなに安くできるかというと、向こうでは学生さんの徴兵制度があって、徴兵された学生さんが訓練の一環で砂・セメントを袋に入れて山に登って作るということです。水が無いところでは、給水車をできるだけ近くまでつけて、水もかついで持っていくということです。これは、マッチンググラントという手法で、補助金の出所が違いまして、お金を送っただけでは駄目だよ、自分たちも労力奉仕をしなさいということでして、現地で半日ほどダムを作る事業を行ったということです。

    2010年の検証ツアーの模様
    タイのノンカイ地区の浄水器事業の検証には、今年の1月7日から11日にかけて行ってきました。渡邉ガバナーを団長として行ってきました。何かお土産を持っていこうということで、三石ロータリーさんの提案で雪だるまをもっていこうことになったのですが、单国の40℃近いところに雪を持っていくので大変でした。発泡スチロールにドライアイスを詰めてその中に雪だるまを入れていきました。バンコクの空港で乗り換えるときに引っ掛かりまして、発泡スチロールの中が冷たくて外は暑いということで、発泡スチロールに汗をかいたよう水滴がついて、他の人のバッグを汚すから駄目だと言われました。全部ぐるぐる巻きにしろということになり、大変な思いをして持って行きました。

    1月8日の午後から2日間で13か所ほど回り、一つ目の学校では日本の国旗とタイの国旗で出迎えていただきました。渡辺ガバナーから雪だるまが贈られたのですが、初めて雪を見るわけですから、大騒ぎということになりました。三石ロータリーの方は無事に届いたということで、非常に喜んでいました。クラブから10万円、地区から10万円、現地のロータリーから5万円ということで、25万円で立派な浄水器ができます。浄水器の内部はステンレスで、中にフィルターが何層も入っているものです。フィルターは水を濾しているうちに傷んでくるのですが、それは向こうの教育委員会などがメンテナンスを行うという約束です。

    2つ目の学校ではお礼のダンスを見せてもらいました。子供たちが一生懸命踊ってくれました。ここでは、白老ロータリークラブが30周年記念事業ということで浄水器を寄贈しましたので、学校から感謝の盾をいただきました。

    当日の夜8時からはホテルに戻って、現地のロータリークラブとの懇親会が始まりました。僕たちは「朝5時ころに起きてきました」という話をしたところ、「私たちは準備に今朝の3時までかかりました」ということで、全部手作りで、紙を切り抜いたり、風船などを並べたりなどして、飾り付けを自分たちでやって下さったということでした。大変心のこもったおもてなしでした。

    翌日9日の朝は5つめの学校に行きました。垂れ幕や、花、カーテンなど大変な準備をして出迎えてくれました。ここでは、マッチンググラントという手法で共同で事業をしています。また、ここでは小学校の5、6年生が授業で習うタイ舞踊を、選ばれた生徒が披露してくれました。ここでは、田口さんが函館RCから預かった手製の紙芝居をプレゼントしました。

    13校全部を回り、当日の夜は現地のロータリークラブと懇親会をしようということで、1時間ほど走ったところにあるロータリークラブと懇親会を行いました。非常に楽しい懇親会で、理解と親善を深めるということにつながりました。

    地区WCSの現状
    さて、去年とその前年の地区のWCSの事業をまとめてきましたので、紹介したいと思います。一昨年は、タイのウォンカイ地区に浄水器の事業を6つのクラブで行いました。タイのチェンマイにはチェックダムの事業が4クラブ、浄水器の事業が1クラブ、札幌西北RCさんが我々の委員会とは別に卖独でチェンマイで事業を行っています。また、インドネシアには孤児院の浄水器と移動図書館事業で合計9つの事業を行いました。スリランカには岩見沢東RCが黒板の寄贈事業を行っています。モンゴルには、札幌大通RCが寄贈図書事業を行っています。参加率は、73クラブのうち23クラブですので、31.5%でした。

    昨年の事業は、タイのノンカイ地区の事業に13クラブが参加していただきました。タイの移動歯科の事業には4つのクラブが参加しました。タイのチェンマイには浄水器と図書館、スリランカとモンゴルにはそれぞれ岩見沢東RCと札幌大通RCが事業を行っています。昨年の実績としては、参加クラブが28に増えまして、参加率は38.4%でした。

    来年は、千歳ロータリーさんも期待しておりますので、是非参加していただきたいと思います。事業の募集は今月いっぱいで、9月に地区で決めたいと思ってますので、千歳さんにも是非参加していただきたいと思います。

    謝辞
    会長 佐々木 金治郎

    手塚委員長様、どうもありがとうございました。世界社会奉仕活動を、スライドを使って丁寧に説明していただきまして、理解を深めることができました。これからもよろしくお願いします。また、田口副委員長様も本日はどうもありがとうございました。