• 10月3日(木) ロータリー財団・米山記念奨学委員会卓話

    ロータリー財団・米山記念奨学委員会 菅原 正行 委員長

    財団・米山委員会卓話(1)

     菅原委員長がロータリーのHPにある「豆辞典パワーポイント」を基に、米山記念奨学事業についてロータリー初心者等にも分かるよう丁寧に教えて下さいました。以下、概略を掲載します。(パワーポイントの画像はクリックしてご覧下さい。)

    ロータリー米山記念奨学事業について

    豆辞典 2013-14 年度版

    プレゼン表題

     ロータリーのホームページにある「豆辞典パワーポイント」を元にロータリー米山記念奨学事業について卓話を進めます。お手元の「ロータリー米山記念奨学事業 豆辞典」も合わせて御参照よろしくお願いいたします。

    ②最大の民間奨学事業

    プレゼン1

     まず、ロータリー米山記念奨学事業について簡単にご説明します。ロータリー米山記念奨学事業とは、日本の全ロータリアンが参加し、推進している事業で、日本で学ぶ外国人留学生へ奨学金を支給し、支援しています。1年間に全国で約700人、これまでに121カ国から17,545人を支援しています。日本には、外国人留学生を対象とする民間奨学団体が129団体1ありますが米山はその中で最大の事業規模です。今後、海外からより多くの留学生を呼び寄せようとしている日本の留学生政策2にも大きく貢献しています。

    1『我が国の留学生制度の概要(平成22年度版)』(文部科学省)

    ※2「留学生30万人計画」2008年に福田康夫首相(当時)が打ち出した、2020年を目途に海外からの留学生を30万人(現在約14万人)に増やすというもの。

    ③日本の“心”を伝える

    プレゼン2

     米山の1番の特徴は、規模が大きい事ではありません。“世話クラブ・カウンセラー制度”によって、毎月(奨学生によっては毎週)、例会に参加し、ロータリアンと交流する事にあります。この交流こそが、ロータリーが目指す平和への第一歩です。人は、人生の中で様々な人と接しながら、学び、変わっていきます。ある人との出会いが、人生を変える事も多々あります。米山奨学生は、沢山の国の中から日本を選び、専門知識を学びに来た優秀な人材です。将来の世界を支える彼らに、日本人の“心”、ロータリーが求める平和への願いを理解してもらう、大きな大きなチャンスです。

     戦争や領土問題などによって、民間交流は時に途切れそうになったり、互いが不信に陥る事もあります。けれども、国民同士の友情なくして真の平和はありえません。政治や国というフィルターの無い、人と人との交流の積み重ねこそが、絆を少しずつ強くします。

    <参考>

    ■ポール・ハリス

    私は、ためらうことなく断言できます。「世界平和は達成できる」と。更に、友情、寛容、人の役に立つというロータリーの堅固な土台の上に平和を築くなら、恒久的なものにする事ができます。(キューバ、ハバナで開かれた1940年RI国際大会でのメッセージ)

    I have no hesitation in saying that world peace could be achieved and made permanent if reared on Rotary’s firm foundation of friendliness, tolerance, and usefulness. (Message to 1940 RI Convention, Havana, Cuba)

    ■米山梅吉

    「国際の平和を政治外交にのみ依頼すべからず」(昭和6年3月28日台北JFAK放送局から放送された講演)

    ④寄付金はきちんと使われているの?

    プレゼン3

     皆さんの米山に対する日頃のご支援に心から感謝申し上げます。続いて、財政状況、地区の寄付状況についてご説明します。

    ⑤寄付はすべて奨学事業に

    プレゼン4

     皆さんが米山に寄付したお金は、全額奨学事業に使われます。このグラフは上が「収入」、下が「支出」です。下のグラフの緑の部分をご覧下さい。理事会などの“会合旅費” 、管理部門の“事務局人件費”などの管理費支出は、上段緑色の“資産の利子収入”で賄っており、頂いた寄付は全て奨学事業だけに使われています。また、支出に占める管理費は僅か4.6%という非常に低い水準である事も、公益性の高さを表しています。

     昨年度の寄付金収入は13 億2,540万円(オレンジと赤の部分)だったのに対し、奨学事業に関わる費用の支出は13億5,880万円でした。全体の不足分は1,341万円で、これは流動資産で補いました。米山では、2013年4月より奨学生数を800人から700人に減らして、事業費を抑えています。

    <参考>

    詳細は、ホームページ(トップページ > ダウンロード > 情報公開の「決算報告」)で公表しています。

    ⑥当地区の実績(1)

    プレゼン5

     このグラフは、地区別の個人平均寄付額(普通寄付+特別寄付)です。昨年度の全国平均は15,046円。最も高かったのは、第2590地区(神奈川県横浜市・川崎市)の28,982円でした。当地区は青い矢印が指している所で、一人平均9,059円、全国で第30位でした。

    <参考>

    クラブの実績は、ホームページをご覧下さい。 トップページ > 寄付金について > 寄付金納入明細表 > 各月の「地区別」

    ⑦寄付の税制優遇

    プレゼン6

     米山は公益財団法人ですので、米山への寄付は所得税・法人税の税制優遇が受けられます。「税額控除」と「所得控除」、どちらか有利な方を選択する事が出来ます。「税額控除」とは、寄付額の約40%を、所得税額から直接控除する事が出来るもので、所得控除よりも控除額が大きくなる事があります。例えば、課税所得額が750万円の方が10万円寄付した場合、3万9,200円も所得税が還付されます。特別寄付金の他、クラブから会員数分お送り頂く普通寄付金も控除の対象です。他の団体の領収証と合算して、年間2,000円以上の寄付でメリットがあります。法人の特別寄付についても、法人税が軽減されます。このような寄付のメリットをご活用頂きながら、是非、毎年のご支援をお願い致します。

     ⑧ご寄付のお願い

    プレゼン4-1

     2013年から奨学生が100人減り、採用人数を700名とし、運営は特別積立財産を取り崩さないように行っております。当クラブは、米山記念奨学金として普通寄付金(個人)前期後期それぞれ2,000円の一人年間4,000円。特別寄付金として個人寄付、法人寄付、クラブ寄付の3種類があり100,000円。日本のロータリーの創始者であります米山梅吉さんにちなんだ米山梅吉記念館へ一人当り100円の合計305,000円を目標としております。

     日本の大学、大学院で学ぶ外国人留学生がロータリアンとの交流により将来、日本と世界とを結ぶ架け橋となる人材を育てる事に繋がりますので何卒ご協力の程よろしくお願い致します。

    ⑨元奨学生たちは何をしているの?

    プレゼン7

     巣立った米山奨学生は、世界中で様々な活躍をしています。

    ⑩米山学友の活躍(1)

    プレゼン8

     そのうちの1人をご紹介します。中国の姫軍(キグン)さんは、多くの日本企業を顧客に持つ弁護士で、ヤマハ発動機を原告とする商標権侵害訴訟では、過去最高額での全面勝訴を勝ち取りました。昨年、日中関係が悪化した際は、中国に居る日本企業や駐在員の安全の為、24時間ホットラインを設けて無料相談を受けたそうです。彼はまた、2007年から毎年50万円もの寄付金を米山奨学会へ送り続けてくれており、中国学友会を正式に発足させた初代会長でもあります。

     ここで、一つのエピソードをご紹介します。2010年の夏、中部名古屋みらいRCが中国学友会(北京分会)を訪ねて、一緒に養護施設の子供達を訪問しました。この日は9月18日。満州事変が起きたこの日は、中国全体で、日本への反感が最も高まる日です。しかし、中国学友会も、養護施設の子どもも、職員も、ロータリーの一行を快く迎えました。中部名古屋みらいRC会長として参加した会員は、「この経験があったからこそ、その後、日中間にどんな事が起ころうとも、お互いを理解し、思いやる気持ちに変わりはありません。この交流が誇りとなり、支えとなり、“動じない強い心”になっています」と、語っています。

    ⑪米山学友の活躍(2)

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     スリランカ出身のスチッタさんは、一緒に日本に来た仲間達が日本語になじめずに、夢を諦めて帰国する姿を見て、母国に日本語学校を造ろうと決意しました。私財を投じて開校したのは、別府の名を冠した「別府日本語学校」です。日本語 だけでなく、留学後すぐに生活が出来るよう、箸の使い方や風呂の入り方など、日本の文化を教えています。この学校の「留学コース」を修了した学生は、全員日本へ留学を果たしています。

    ⑫学友会も頑張っています

    プレゼン10

     奨学期間が終わったあとも、ロータリーとの接点を持つ為に有効な組織が学友会です。学友会は、元奨学生と現役奨学生によって組織されるもので、日本国内に31、海外には台湾・韓国・中国・タイにそれぞれ学友会があります。活動内容は学友会によって異なりますが、被災地のボランティア活動や、地区大会で母国のお茶サービスをするなど、様々な活動をしています。上の写真は2012年に、第2620地区(静岡・山梨)の学友会が、東日本大震災の被災地である岩手県で、桜の植樹を行った時のものです。

     その他、幾つかの学友会をご紹介します。第2770地区学友会では、毎年老人ホームを慰問し、自分達で考えた企画で、入居者を楽しませています。第2780地区学友会は、国内で最も活発な学友会です。この写真は地区大会で母国のお茶をサービスしているものですが、この他にも湘南海岸の清掃活動、ロータリアンを手料理でもてなす交流会、フットサルサークルなど、多くの活動をしています。2012年に設立されたばかりのタイ学友会も、養護施設の子ども達との夕食会、粉ミルクや紙オムツの寄贈、海岸清掃、ウミガメの放流など、既に数多くの活動を行っています。

    ⑬最新ニュース

     2013年10月19日に、ネパールで海外5番目の米山学友会が誕生します!国での学友会設立を望む在日ネパール学友達も、現地と協力しながら準備をしています。

    よねやま親善大使

     昨年度、ロータリー米山記念奨学会では、事業創設60周年を記念して、よねやま親善大使を募集しました。80人を超える応募者の中から選ばれた、初代よねやま親善大使は尤銘煌さん(台湾/2003-04/津島RC)、楊小平さん(中国/2011-12/東広島21RC)の2名です。(任期:2年間)親善大使は、ロータリーや一般社会に向けて、米山奨学事業のPRをしています。

    <参考>

    ・地区大会・米山関連セミナー・研修会などに親善大使を呼びたい場合は、米山記念奨学会事務局 広報担当までご連絡下さい。

    ・親善大使の紹介ビデオもあります。9月下旬からHPで公開する他、希望する方にはDVDをお送りします。

    ⑮なぜ、外国人留学生を支援するのですか?

     さて、日本のロータリーは何故独自の奨学財団を作り、外国人留学生を支援しているのでしょうか。

    ⑯日本のロータリアンの願い

    プレゼン11

     米山奨学事業は、日本のロータリーの黎明期を支えた大先輩達の手で作られ、脈々と受け継がれてきた日本独自の事業です。日本で最初のロータリークラブを創立した米山梅吉氏が1946年に亡くなった後、“米山梅吉”の名を永遠に偲ぶ事が出来るような、有益な事業をやろうではないか…という事で、1952年、東京RCが「米山基金」を立ち上げました。

     何故外国人留学生への奨学金という事業が選ばれたのか、幾つか理由はあったようですが、戦後の復興へと向かい始めた当時、「二度と戦争の悲劇を繰り返さない為に、“平和日本”を肌で感じてもらいたい。」という当時の日本のロータリアン達の強い想いがありました。

     東京RCが始めた「米山基金」は、僅か5年で日本の全RCの共同事業となりました。

    ⑰当時のロータリアンの言葉

    プレゼン12

     1952年11月4日、東京RCの古沢会長が発表した「米山基金」は、アジアの優秀な学生を日本に招いて、研究させたいというものでした。この日提出された「米山記念奨学金(略称・米山ファンド)設定の趣旨」の最後の一文に、この構想に掛けた並々ならぬ意気込みを見る事が出来ます。 「これ実に翁の生前意図されたロータリー事業の一つであり、われらまたもって翁の遺徳をたたうる無形の金字塔となさんとするものであります」古沢氏は、「大連宣言」で知られる優れた思想家ですが、彼がロータリー人生の最後に情熱を傾け、奉仕の実践に取り組んだのが、米山奨学事業でした。

    プレゼン13

     古沢氏は、第1号奨学生のソムチャードさんの帰国を見届ける事なく、1955年に亡くなりました。その3年後、ソムチャードさんがいよいよ母国へ帰る日、東京RCの新田義実氏(にった・よしみ、のちに米山奨学会副理事長)がバンコクRCへ宛てた手紙の一文をご紹介します。「いよいよソムチャードさんが日本での勉学を終え、帰国します。彼は4 年間、日本で多くのことを学びました。楽しいことばかりではなかったと思いますが、人間は基本的に同じであるとわかってくれたはずです。これは、ロータリーにおけるわれわれの信念であり、人は世界の人々と友情を育むことができるのだと、われわれは証明したいのです。今からソムチャードさんはあなた方の元へ帰ります。あなた方は彼を誇りに思ってくださることでしょう――」

    ⑱国際貢献事業

     プレゼン14

     米山奨学事業は、日本のロータリーが世界に誇る事の出来る国際貢献事業です。教育への投資は、国際親善と友好に、計り知れない波及効果があります。そしてこの事業の根幹は、日本に来てくれた留学生に、ロータリーの心、日本人の心を伝え、お互いに信頼関係を築く事で、世界の平和と発展に貢献する事です。日本のロータリアン達が受け継いできた米山記念奨学事業は、今を生きる我々ロータリアンの誇りでもあります。先輩達が繋いできた米山の灯を消す事なく、次の世代に伝えていく為に、米山の灯を益々燃やし続けましょう!

     毎月の「ロータリーの友」の中に「よねやまだより」の記載ページがあります。ロータリー米山記念奨学事業の事が載っておりますので是非見て頂き、ご賛同の程よろしくお願い致します。また、米山梅吉氏の遺徳を偲び、その偉業を顕彰する事を目的として、昭和44年に開館されました「公益財団法人 米山梅吉記念館」があります。こちらの運営につきまして当クラブとしましては、一人100円募金としております。重ねてご理解の程よろしくお願い致します。

    財団・米山委員会卓話(2)

     卓話の終わりにSAA・プログラム委員 五十嵐宏PCが「非常に詳しく内容を教えてもらい、とても有意義な卓話でした。ここまで調べて頂きありがとうございました。」と称賛の拍手が送られていました。菅原委員長、ありがとうございました。